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エーザイ川島工業団地カフェテリア&オフィス / TAISEI DESIGN Planners Architects & Engineers

建築家によって提供されたテキストによる説明。このプロジェクトは、国内のヘルスケア産業を営む企業の生産・研究拠点の老朽化した社員食堂を建て替えるプロジェクトであり、単に食事を提供するという役割を超え、人と自然、人と人を繋ぐ新たな拠点の創出を目指したものです。

敷地は木曽川に囲まれた中州に位置し、豊かな緑と水源に恵まれた自然環境にあります。立地の利点を最大限に活かしたデザインには、自然と調和したものづくりと研究を追求するという創業者の理念が意識的に反映されています。研究と製造の性質上、既存の施設は閉鎖され窓がなく、周囲の自然環境との接触が限られていました。この計画では、豊かな緑を望みながら、自然光と通風をたっぷりと取り込むオープンな室内空間を実現しました。従業員の健康増進を目的として設計されており、サテライトオフィスや休憩所としても利用でき、従業員のコミュニケーションを促進し、イノベーションを加速します。

建物の北側には歴史ある原生林が広がり、南側には新たな庭園が造成されました。これにより、自然とつながるデザインを実現することができました。鉄筋コンクリート造と鉄骨造を組み合わせたハイブリッド構造を採用し、堅牢性と開放感を実現しました。南北の緑とのつながりを意識し、梁や設備ダクト、仕上げ材などを南北軸に配置した。

1階南側は採光・通風が良好な明るいダイニングエリアです。建物内には周囲の緑を一望できる横長の窓が並び、軒下には屋内バルコニーやテラスがあり、四季折々の自然を楽しめる開放的な空間となっている。これらのスペースは社員同士の交流の場としても機能しています。一方、1階北側には腰の高さの壁と垂れ壁を用いて原生林の景観をデザインした落ち着いた雰囲気の空間となっている。静かに食事を楽しんだり、仕事に集中できるソロワークスペースとしてもご利用いただけます。これらの空間をゆるやかにつなぐデザインにより、気分に合わせて柔軟に働く場所を選ぶことができます。

また、2階オフィスは廊下をなくし、中央に交流スペースを設けることで、南北の部門間の自然なコミュニケーションが図られるよう設​​計しました。

この建物は、自然災害時に安全・安心を提供する拠点としても機能します。サーバールームと医務室を鉄筋コンクリートコアに集約し、太陽光発電や非常用発電機などBCP対策のための施設・設備を備えている。木曽川の浸水に備えて1階を約1メートルかさ上げした。敷地の緩やかな傾斜を活かした庭園は、災害時には屋外広場としても利用できるユニバーサルスペースです。

このプロジェクトには、自然とのふれあい、コミュニケーション、健康を促進する新しい拠点を作りたいという私たちの情熱が反映されています。